大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)743 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理 由

弁護人猪股正清上告趣意について。

所論は結局原審の事実認定を非難するにとどまり刑訴四〇五条所定の上告適法の

理由に該当しない。のみならず所論詐欺の犯意に関する第一審判決の認定を是認し

た原審の判断はその根拠とされた証拠及び微憑に照らしこれを肯認するに難くない

のである。(仮りに所論のように被告人の弁解する通りであつたとしてもなお被告

人等はA方に宿泊を申入れた際宿泊料の全部を直ちに支払うに足る資力はなく且こ

れを支払う意思もなかつたということに帰着するのである。原審はかかる状態にあ

る未知のものがその事情を明示して宿泊の申入をしても宿屋の主人がその宿泊を謝

絶するであろうことは多言を要しないところであるにも拘わらず被告人等はこれを

秘し恰も宿泊料全部を直ちに支払う資力及びその意思あるものの如く装い通常の宿

客であるような顔をして右Aをして「宿賃だけはきちんと支払つて呉れるもの」と

誤信せしめて宿泊したのであるから被告人等に詐欺の犯意あつたことを推認し得る

と判示しているのである。そしてこの原審の判断の首肯し得るものたることは多言

を要しないところである。)原判決には所論のような単なる訴訟法の違反もなく論

旨は採用に値しない。しかも本件は刑訴四一一条により職権を発動すべき場合とも

認められない。

よつて刑訴四一四条三八六条一項三号一八一条一項に従い主文の通り決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二五年一二月二一日

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

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